身の回りの科学

千歳科学技術大学 理科工房

No.1(2007.6)
LED信号機
千歳駅前の信号機が新しくなった事に気づかれましたか?とは言っても見た目はほとんど同じですね。変わったのは、青・黄・赤の「明かり」の部分です。
 実はこの新しい信号機にはこれまでのランプに代わり、発光ダイオード(LED)という新しい明かりが使われているのです。今までのランプは光と一緒にかなりの熱も出しています。それに対して発光ダイオードではそのような発熱が無く、より少ない電力で、より明るく光ることができます。つまり、省エネルギーの明かりというわけです。また、ランプより値段は高いのですが、寿命が長く、故障も少なくて保守・交換の手間減ることから、トータルのコストが下がります。
 これまでの北海道では、本州などに比べて、発光ダイオードを使った信号機はあまり多く設置されていませんでした。これは、発熱が少ないために、冬場に信号機の上に積もった雪が解け難いからと言われていました。でも、最近では札幌や小樽、そして千歳でも、発光ダイオード信号機が増えているようです。
 お出かけのついでに、探してみてはいかがでしょうか。

No.2(2007.7)
逃げ水
 車を運転している時、少し遠方の路面が黒っぽく見えているのに近づいていくと何も変わっていないということを経験されたことがあると思います。その時さらに遠くが同じように見えるという繰り返しになることもよくあります。
 これが「逃げ水」という現象です。砂漠や草原などで遠くに水があるように見えるのに、近づいていくと逃げるように遠ざかるという現象から名付けられました。道路のときにも、遠くに水溜りがあるように見えますね。でも、よく見るとそのあたりの景色や車が路面に写っているようにも見えます。この現象には光の進み方が関係しています。路面が太陽からの日射で熱せられると、その直ぐ上の空気が温められて、さらに上の空気より温度が高くなります。そうするとそこを通る光の進路が曲がってしまうのです。曲がった光を私たちが見ると、まるで路面で反射してきたかのように感じられて、何かが路面にあるように見えてしまうという訳です。似たような現象には蜃気楼があります。
 ところで、確かめた訳ではありませんが、北海道では逃げ水をよく見るように思います。
 春先や秋など暑い季節以外にも、また朝などまだ涼しい時間帯でも見ることができるようです。皆さんも理由を考えてみてはいかがでしょうか。

No.3(2007.8)
夕焼けはなぜ赤いの?
 夏らしい青空が広がるようになりました。ところで、昼の空は青いのに、夕方になると赤くみえるのは、なぜでしょうか?
 太陽の光にはいろいろな色の光が混ざっています。一方、空気の中には目に見えない小さな粒(空気の分子)がたくさんあります。太陽からの光は空気中を進む間にその小さな粒にぶつかって散らばるのですが、青い光は散らばりやすく、赤い光は散らばりにくいという性質があります。
 昼の空と夕方の空では、太陽の光が空気中の層を通る距離(長さ)が違います。昼の空では、太陽の光が空気の層を通る長さ(距離)が短く、散らばりやすい青い光が目に入ってくるので、空は青く見えます。夕方になると、太陽からの光は昼よりも空気の層を長く通ることになります。そうすると、青い光が散った後になるので、赤く見えるのです。
 このような空の色の変化は、身近なペットボトルを使って再現できます。500mlのペットボトルに水を9割程度入れて、その中に床用ワックスを70〜90滴分ほど入れます。そして、ペットボトルの下から懐中電灯の光を当ててみましょう。色の変化が観察できるはずです。ワックス以外のいろいろな液体でも試してみてください。

No.4(2007.9)
洗濯物の乾きやすさ?
 この原稿を書いているのは八月初めですが、湿度が高く蒸し暑い日が続いています。そのような時は、なんとなく洗濯物が乾きにくいですね。これは、どうしてでしょうか?
 水は摂氏百度で沸騰して水蒸気になると理科で習ったと思いますが、実際にはもっと低い温度でも少しずつ蒸発します。ただし、蒸発しやすさ(蒸発する速さ)は、周りに存在する水蒸気(水分)の量によって決まります。
 私たちの周りにある空気は、水蒸気を含む様々な気体が混合したものですが、その中に含むことができる水蒸気の上限量は、湿度によって決まります。その上限量に対してどの程度の量の水蒸気が含まれているかを表すのが、天気予報でよく使われる「湿度」という値です。湿度が高いほど、空気中には限界に近い量の水蒸気が含まれていることになるので、天気が良くても洗濯物や水たまりの水が蒸発しにくくなるというわけです。
 ところで、冷たい飲み物を入れたコップの表面に細かい水滴が付くことがありますね。これはコップのすぐ近くの空気が冷やされて、含むことができる水蒸気の上限値が下がり、余分な水分が水滴となったものです。冬場の結露が起きるのも、同じような理由です。

No.5(2007.10)
「理科離れ」って本当?
 最近「理科離れ」という言葉を聴く機会が多いと思います。理科の勉強に関心や意欲を持つ子どもたちが減っていると言われます。本当でしょうか?
 確かに、中学・高校では、理科(特に物理)の人気が低落しています。でも、小学生には、理科が好きな子どもたちはたくさんいます。私たち『理科工房』は千歳・恵庭市内の小学校で理科実験授業を行っていますが、子ども達は生き生きとした表情で実験に取り組み、少し難しい内容でも積極的に学んでくれています。その様子を見ていると、どうして彼らが理科の勉強を嫌いになってしまうのか不思議です。
 「理科離れ」という言葉には子どもたちが自分の意思で理科の学習から「離れて」いくニュアンスがあるように感じますが、本当は大人が子どもたちを理科から「引き離して」いるのではないでしょうか?知識として理科を詰め込もうとする余りに、自然現象に対して純粋に「なぜ?」と思う彼らの好奇心の芽を摘み取ってしまっているように思います。
 千歳科学技術大学・理科工房では、子どもたちの「どうして?」を育てる理科実験や実験授業を様々な機会に実施して、探究心に溢れる子どもたちに理科の面白さを伝えていきたいと考えています。

No.6(2007.11)
色と光の三原色
 年賀状の準備をする季節になってきました。最近では、自宅のカラープリンターで印刷する人も多いですね。ところで、カラープリンターのカラーインクは、何色か覚えていますか?お店に行けば直ぐに分かるように、カラーインクは一般的に、シアン(水色)・マゼンタ(赤紫色)・イエロー(黄)の三色です。これにブラック(黒)を加えた四色のインクを使って、カラープリンターでは様々な色を表現しています。このシアン・マゼンタ・イエローの組み合わせを「色の三原色」と呼びます。これらの三色を混ぜると、黒く見えます。
 それに対してカラーテレビやディスプレーでは、赤(R)・緑(G)・青(B)の三色を使って、様々な色を表しています。「RGB」と表現されるこれらの三つの色の組み合わせは、「光の三原色」と呼ばれています。人間の眼には赤・緑・青の光をそれぞれ感じる三種類の細胞があり、それらの刺激の程度に応じて、私たちの脳がさまざまな「色」を感じるのです。ちなみに、RGBの三色の光を同時に見ると「白」に見えて、どれか二色の光を同時に見ると、先ほどの色の三原色のどれかの色に見えます。この原理を使うと、「色のついた影」を作り出すこともできます。

No.7(2007.12)
光は曲がる?
 月曜夜9時のドラマ「ガリレオ」をご覧になっている方、結構いらしゃると思います。その中で「水槽の中に濃度の違う砂糖水の層を入れて、レーザー光線を通すと、レーザは直進せず曲がって進む」という実験がありました。本当にそんなことが観察できるのでしょうか? 理科工房では、これを再現する水槽を自作しました。その中に濃度が約10%〜約30%の4層の砂糖水を濃い層が下になるように順に入れ、一番上に水の層を入れて(砂糖水や水の注ぎ方にコツが要ります)、水槽の横からレーザ光線を通しました。すると、レーザはきれいに下向きに曲がって進みました。
 直進するはずの光がなぜ曲がるかと言うと、この連載の第2回でご紹介した「逃げ水」と同様の理由によります。砂糖水の濃度が違うと、屈折の程度を示す屈折率の値が変わり、その結果として光が折れ曲がるように進むというわけです。理屈では理解していても、実際に自分たちの目で見ると、なかなか感動ものでした。また、思ったよりも滑らかに連続的に曲がりました。
 来る12月23日午前10時〜午後3時に、市民文化センターで「青少年のための科学の祭典・千歳大会」が開催されます。そのとき、この「光が曲がる」実験装置も展示する予定です。他にもたくさんの面白い実験・工作・観察ブースが出展されますので、是非お越しください。入場は無料です。

No.8(2008.1)
叩けば直る?
 ドラマやアニメ番組などの中で、テレビの映りが悪くなったので叩いたらきれいに映るようになるという場面が、ときどきあります。叩けば電気機械の調子が良くなるなんていうことは、本当にあるのでしょうか? 
 考えられる原因として、テレビなどの機会の中に使われているスイッチが挙げられます。スイッチは、2つの金属を接触させたり離したりすることで電気を流したり切ったりする部品です。スライド式のものやコネクタ類もその仲間になります。簡単な構造ながら確実に動作する部品ですが、長い期間使っていると金属の表面が次第に汚れてきます。すると電気信号が流れにくくなって、たとえば画面の映りが悪くなることがあります。
 そのようなときにテレビを叩いたら、中に入っているスイッチの金属の表面がその衝撃でこすれて汚れが削られて、電気信号が再びきれいに流れるようになるというわけです。もっとも、最近の機械はは複雑で精密になってきていますので、むやみに叩かない方が良いとは思いますが。
 ところで、ふだん使うヘアスプレーなどの中に、スイッチの汚れを引き起こす可能性が高い成分が含まれていることがあります。「ガリレオ」の第8話で、湯川先生が説明していましたね。

No.9(2008.2)
水の不思議
 この原稿を書いているのは一月半ばですが、寒い日が続いています。最低気温がマイナス10℃より低くなる日も多く、厳しい冷え込みになっています。そんな時は、夜の天気予報などでよく「水道管の凍結に注意」と言っていますね。凍っただけでも困りものですが、凍った水道管が「破裂」してしまったという経験をされた方もいると思います。
 氷は、液体の水が固体になったものですね。ほとんどの物体は固体になると体積が減るのですが、水は変わり者で、固体(氷)になると体積が増える、つまり「大きく」なるのです。水道管の大きさ(太さ)は決まっていますから、その中に入っている水が凍って体積が増えると、水道管を押し広げようとする力が掛かります。その結果として、管のつなぎ目などの弱い部分が外れたりすることがあるという訳です。冷蔵庫で氷を作ると、氷の製氷皿から盛り上がるようにできるのも、凍って体積が増えたためです。
 ところで、水の体積が最も小さくなるのは、温度が4℃位のときです。これより、4℃位の水は氷よりも重いことになります。冬に湖の水面が凍っても、その下に凍っていない水があるのは(つまり、氷が沈まないのは)、このような重さの違いのためです。