各論目次

  第2節 秘密を侵す罪(133条~135条)

意 義

 「秘密を侵す罪」は,個人の秘密を保護法益として,その侵害を犯罪とするものです。

 法人・法人格なき団体の秘密は含まれるとされます(通説)。

犯罪類型

 秘密を侵す行為には,第1に,秘密の「探知」があります。刑法は,これを「信書開封罪」(133条)として処罰しています。

   ※ 現行刑法は,探知行為については,上記のように「信書の開封」についてのみ処罰規定を設けており,会話の盗聴などは対象としていません。

 第2に,秘密の「漏示」があります。刑法は,一定の身分を有する者のそれを「秘密漏示罪」(134条)として処罰しています。

 いずれも「告訴がなければ公訴を提起することができない」とされます(親告罪・135条)。

[用語説明 - 親告罪]

 「親告罪」とは,「告訴がなければ公訴を提起することがてきない罪」をいいます。

 「告訴」とは,被害者などの告訴権者が,捜査機関に対して,犯罪事実を申告し,犯人の訴追を求める意思表示をいいます(刑訴法230条以下)。

 「公訴」とは,前にも述べたように,検察官が,特定の事件につき,裁判所の審判を求める意思表示をいいます(刑訴法247条以下)。

 つまり,親告罪の場合には,被害者等が「訴えてくれ」といわないかぎり,検察官は裁判所に訴えを起こすができないわけです。

 特定の犯罪が親告罪とされている根拠としては,①犯罪の性質上,被害者の名誉等を尊重する趣旨の場合(強姦罪など)と,②軽微な犯罪であるなどの理由で訴追を被害者の意思に委ねる趣旨の場合(器物損壊罪など)とがあるとされます。

 信書開封罪・秘密漏示罪が親告罪とされている趣旨は,訴追がなされることによって秘密が公になり,被害者にかえって不利益になる場合があるという配慮にもとづいているとされます(大谷)。

 

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