各論目次

第3編 個人的法益に対する罪1

意 義

 個人的法益に対する罪とは,個人の利益を侵害し,または,これを危険にする犯罪です。

 日本国憲法13条前段は,「すべて国民は,個人として尊重される」と規定しています。これは,あらゆる法的価値の根源が個人の尊重にあることを宣言するものといえます。そこで,刑法においても個人的法益が最優先に保護されなければならないものとされます(大谷)。

   ※ それゆえ,現在では,刑法の教科書においても「個人的法益」から書かれているものが一般的です(ただし,本HPでは,原則として,条文の順序で記載しています)。

種 類

 刑法2編は,「個人的法益に対する罪」として,以下のものを規定しています。

  ① 「生命」・「身体」に対する罪(26章~30章)

  ② 「自由」に対する罪(12章,13章,22章のうち176条~181条,31章~33章)

  ③ 「名誉」・「信用」に対する罪(34章,35章)

  ④ 「財産」に対する罪(36章)

    ※ 「自由に対する罪」の中には,立法当時は社会的法益に対する罪ととらえられていたものが,個人的法益に対する罪として理解されるのが一般的となったものがあるため(住居侵入罪,強制わいせつ・強姦罪など),法益による分類と条文の位置関係とが一致しないものがあります。

    ※ 教科書では「生命」に対する罪から書かれているものが一般的ですが,以下でも条文の順序に従って「自由」に対する罪の一部を先に勉強します。

                                                                    自由に対する罪1