各論目次

第7編 個人的法益に対する罪2

 単章 自由に対する罪2

  単節 わいせつ・強制性交等・重婚の罪2(176条-181条)

法的性格
 ここでは,「わいせつ・強制性交等・重婚の罪」(刑法2編22章)のうち,今日一般に「個人法益(性的自由)に対する罪」として理解されているものを勉強しておきましょう。
   ※ もっとも,「性的自由に対する罪という表現が用いられることが多いが,必ずしも適切ではない。単に性的自己決定(権)が害されるということではなく,身体と人格的尊厳についてのより重大な侵害を伴う犯罪と考えるべきである。」との指摘があります(前田)。
  また,平成29年改正は「性犯罪を『自由』『意思』に対する侵害と捉えるにとどまらず,肉体・精神の両面にわたる人間の尊厳に対する侵害とする評価を基礎とするものである」ともされています(橋本)。

   * なお,ここで勉強する規定は平成29年に大幅に改正されたことに注意してください(7月13日施行)(以下,本節において「改正」とは平成29年改正をさします。)。

犯罪類型
 
具体的には,以下の犯罪ということになります。
  (1) 強制わいせつ罪(176条) 
  (2) 強制性交等罪(177条) 
  (3) 準強制わいせつ罪・準強制性交等罪(178条) 
  (4) 監護者わいせつ・監護者性交等罪(179条) 
  (5) (1)~(4)の未遂罪(180条) 
  (6) 強制わいせつ等致死傷罪(181条) 

非親告罪
 上記の罪は,すべて「告訴がなくても公訴を提起することができる非親告罪」です。
   * 改正前は,強制わいせつ致死傷罪などを除いて,原則として親告罪とされていました。しかし,被害者に決断を迫るものとして負担が大きいことなどから,非親告罪とされました。
    ※ なお,改正法施行前に犯した罪についても,原則として非親告罪として扱うものとされています(附則2条)。

 改正前

 

 

 改正後

 

176条

強制わいせつ

 

176条

強制わいせつ

177条

強姦

 

177条

強制性交等

178条

準強制わいせつ・準強姦

 

178条

準強制わいせつ・準強制性交等

178条の2

集団強姦等

 

 

(削除)

 

 

 

179条

監護者わいせつ・監護者性交等(新設)

179条

未遂罪

 

180条

未遂罪(179条から移行)

180条

親告罪

 

 

(削除)

181条

強制わいせつ等致死傷

 

181条

強制わいせつ等致死傷

 

                                                                         強制わいせつ罪