各論目次

      ※ 親告罪(180条)

(親告罪)

 180条1項 第176条から第178条までの罪(強制わいせつ罪,強姦罪,準強制わいせつ罪・準強姦罪)及びこれらの罪の未遂罪

            ↓

         告訴がなければ公訴を提起することができない

      2項 前項(親告罪)の規定

            ↓

         2人以上の者が現場において共同して犯した

         第176条若しくは第178条第1項の罪(強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪)又はこれらの罪の未遂罪については,

         適用しない

       (1) 1 項

 本条1項は,①強制わいせつ罪(176条),②強姦罪(177条),③準強制わいせつ罪・準強姦罪(178条),およびこれらの罪の未遂罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない(親告罪)とするものです。

 強制わいせつ罪等の被害者は,犯人が訴追されることによって捜査・公判手続に関与することを余儀なくされ,名誉その他の点で社会生活上重大な不利益を被るおそれがあるためです。

 ただし,集団強姦罪・集団準強姦罪(178条の2),およびこれらの罪の未遂罪は,その悪質性および一般予防(犯罪防止)の必要性にかんがみ,本項から除外されています(非親告罪)。

       (2) 2 項

趣 旨

 本条2項は,2人以上の者が現場において共同して犯した強制わいせつ罪(176条)・準強制わいせつ罪(178条1項),またはこれらの罪の未遂罪については,1項の規定が適用されないことを規定しています。つまり,「非親告罪」になるということです。

 「2人以上の者が現場において共同して犯した」場合は,前記集団強姦罪等と同様に,その悪質性等が強いためです。

 

  集団以外

  集団の場合

 強姦罪

 親告罪(1項)

 集団強姦罪が成立(1項に含まれない)=非親告罪

 強制わいせつ罪

 親告罪(1項)

 2項により1項を排除=非親告罪  

要 件

 「現場」とは,犯罪の実行の場所または社会通念上それと一体となっている場所をいいます(通説)。

 「共同して犯した」とは,共同正犯関係にある2人以上の者が,現場にいて強制わいせつ罪等を実行したという意味です。

 共謀者のうち1人だけが現場にいたにすぎないときは,2項は適用されません(親告罪)。

 他方,2人以上現場にいればよいから,他に現場にはいない共犯者(共謀共同正犯・教唆犯・幇助犯)がいた場合は,その者についても非親告罪となります。

   ※ 正犯について本条2項の適用がある以上,その幇助者が現場に居合わせたか否かを問わず,これを訴追するについて告訴を要しないとしたものとして,最決昭43・10・15。

 

                                                                   強制わいせつ等致死傷罪