各論目次

 第3章 名誉に対する罪(230条~232条)

     1 総 説

名誉保護の必要性
 「名誉に対する罪」は,人の名誉を毀損したり,人を侮辱する行為を犯罪とするものです。
 「名誉」は,憲法上も人格権(幸福追求権・13条)の1つとして保障されていると考えられています(最大判昭61・6・11)。
 名誉が侵害されると,個人的生活ばかりでなく,社会的生活関係が破壊され,重大な不利益をこうむるおそれがあります。
 そこで,刑法は,人の名誉を傷つけた場合は,その内容が真実がどうかを問わず,犯罪として処罰することを原則としています。

犯罪類型
 刑法は,本章のもと,以下の規定をおいています。
  ①名誉毀損罪(230条1項) 
  ②死者の名誉毀損罪(同条2項) 
  ※公共の利害に関する場合の特例(230条の2) 
  ③侮辱罪(231条) 
  ※親告罪(232条) 

真実性の証明による免責
 もっとも,名誉保護の必要の一方で,表現の自由(憲法21条)の重要性はいうまでもなく,真実を伝える自由は国民の知る権利のためにも十分に保障されなければなりません。
 そこで,刑法は,名誉の保護と表現の自由との調和を図る趣旨のもと,人の名誉を毀損する行為(230条1項)であっても,公共の利害に関する事実については真実であると証明すれば免責される旨の規定を設けています(230条の2,昭22追加)。

 

                                                                     名誉毀損罪