各論目次

 第4章 信用・業務に対する罪(233条~234条の2)

     1 総 説

 刑法2編35章は「信用及び業務に対する罪」を規定しています。

信用毀損罪の性格
 「信用」に対する罪(信用毀損罪)は,人に対する社会的な評価を保護する点で名誉毀損罪と共通する面があります。ただ,とくに経済的な側面に対する評価(経済的信用)を保護するものなので,財産罪に近い面もあります。それゆえ,名誉に対する罪と財産に対する罪との中間に位置づけることができます。
   * 人格罪としての性格と財産罪に近接した面をもつ独自の犯罪と考えます(独立罪説)。なお,大判大5・6・26は「本条にいう信用は財産的法益の一種であり,名誉の一部に属するものではない」としており,財産罪説(大場・宮本)を採ったものと評価されています(大コメ)。ほかに,名誉毀損の特別類型とみる名誉毀損罪説もあります(内田・中山,なお大谷)。

業務妨害罪の性格
 「業務」に対する罪(偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪・電子計算機損壊等業務妨害罪)については,社会的活動の自由を害するものとして「自由」に対する罪に位置づける見解も有力です(平野・大谷・中森)。
 たしかに,そのような性格はありますが,他方で,本罪が当然に意思決定や活動の自由を制約するわけでもありません(後掲最決昭59・4・27参照)。
 それゆえ,「業務」そのものを保護する規定とみて,自由に対する罪と財産に対する罪の中間に位置づけるのが妥当であると考えられます。

 こうして,刑法が,両者を併せて「自由・名誉に対する罪」と「財産に対する罪」との間に規定している意味が理解されることになります(団藤・大塚・堀内・西田・山中・佐久間)。

    ※ なお,本章の罪は「親告罪」ではありません。

 

                                                                      信用毀損罪