各論目次

  第2節 飲料水に関する罪(142条~147条)

 飲料水に関する罪は,公衆の健康を保護法益とします。

 飲料水の用途を害したり,その水道を損壊するなどの行為によって,公衆の生命・身体に対する危険を生じさせることを内容とするものです(公共危険犯)。

    1 浄水汚染罪(142条)

(浄水汚染)

 142条 人の飲料に供する浄水を汚染し,よって使用することができないようにした者 → 6月以下の懲役又は10万円以下の罰金

   ※ 本罪は,公衆の健康を保持するためのものなので,「人」とは不特定または多数の人を意味します。台所炊事場に備付けの水瓶内の飲料水は,本条の客体になるとされています(大判昭8・6・5)。

   ※ 他人の飲料に供する井戸水に食用紅を溶かした水を注いで薄赤色に混濁させ,飲料浄水として一般に使用することを心理的に不能にしたという場合にも本罪が成立します(最判昭36・9・8)。

    2 水道汚染罪(143条)

(水道汚染)

 143条 水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源を汚染し,よって使用することができないようにした者

        → 6月以上7年以下の懲役

    3 浄水毒物等混入罪(144条)

(浄水毒物等混入)

 144条 人の飲料に供する浄水に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者 → 3年以下の懲役

    4 浄水汚染等致死傷罪(145条)

(浄水汚染等致死傷)

 145条 前3条の罪(浄水汚染罪・水道汚染罪・浄水毒物等混入罪)を犯し,よって人を死傷させた者 → 傷害の罪と比較して,重い刑により処断

    5 水道毒物等混入罪・水道毒物等混入致死罪(146条)

(水道毒物等混入及び同致死)

 146条 水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者 → 2年以上の有期懲役

       よって人を死亡させた者 → 死刑又は無期若しくは5年以上の懲役

   ※ 前段(水道毒物等混入罪)は,毒物等を投入する行為があれば成立します(人の健康を害したか否かは問いません)(大判昭3・10・15)。

    6 水道損壊罪・水道閉塞罪(147条)

(水道損壊及び閉塞)

 147条 公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊し,又は閉塞した者 → 1年以上10年以下の懲役

 

                                                                 公共の信用に対する罪