各論目次

  単 節 わいせつ・姦淫・重婚の罪1(174条・175条)

 刑法は,「わいせつ,姦淫及び重婚の罪」の章のもとに,性に関する犯罪を規定しています。

 この中には,①「性的自由」を保護法益とする個人法益に対する罪と,②「性的風俗」を保護法益とする社会法益に対する罪が含まれています。

 ①性的自由に対する罪としては,(ア) 強制わいせつ罪(176条),(イ) 強姦罪(177条),(ウ) 準強制わいせつ・準強姦罪(178条),(エ) 集団強姦等罪(178条の2),(オ) これらの未遂罪(179条),(カ) 強制わいせつ等致死傷罪(181条)が規定されています。

 また,②性的風俗に対する罪としては,(ア) 公然わいせつ罪(174条),(イ) わいせつ物頒布等罪(175条),(ウ) 淫行勧誘罪(182条),(エ) 重婚罪(184条)が規定されています。

   ※ 刑法は,その位置からすれば,強制わいせつ罪なども,社会法益に対する罪とみていたものといえますが(学説では小野など),今日ではこれらを個人法益に対する罪とみることでほぼ一致しています。

   ※ 淫行勧誘罪については,「性的自由に対する罪」とみる見解もありますが(団藤・平野・大谷・中森),本HPでは「性的風俗に対する罪」の方に位置づけておきます(大塚・藤木・川端・前田・山口・佐久間・井田など多数説)。

     罪              名

  法        益

 ① 公然わいせつ罪(174条)

 ② わいせつ物頒布等罪(175条)

 社会法益(性的風俗)

 ③ 強制わいせつ罪(176条)

 ④ 強姦罪(177条)

 ⑤ 準強制わいせつ・準強姦罪(178条)

 ⑥ 集団強姦等罪(178条の2)

 ⑦ ③~⑥の未遂罪(179条)

 ⑧ 強制わいせつ等致死傷罪(181条)

 個人法益(性的自由)

 ⑨ 淫行勧誘罪(182条)

 ⑩ 重婚罪(184条)

 社会法益(性的風俗)

    ※ 183条(姦通罪)は削除されています(昭和22年)。

 この章では,条文の順に従って,「公然わいせつ罪」(174条 )と「わいせつ物頒布等罪」(175条 )について勉強しておきましょう。

 

                                                                         公然わいせつ罪