各論目次

第6編 社会的法益に対する罪3

 単章  風俗に対する罪1

 刑法は,「わいせつ,強制性交等及び重婚の罪」の章のもとに,性に関する犯罪を規定しています。この中には,(1) 性的「風俗」を保護法益とする社会法益に対する罪と,(2) 性的「自由」を保護法益とする個人法益に対する罪が含まれています。
 (1) 性的「風俗」に対する罪としては,(ア) 公然わいせつ罪(174条),(イ) わいせつ物頒布等罪(175条),(ウ) 淫行勧誘罪(182条),(エ) 重婚罪(184条)が規定されています。
 また,(2) 性的「自由」に対する罪としては,(ア) 強制わいせつ罪(176条),(イ) 強制性交等罪(177条),(ウ) 準強制わいせつ・準強制性交等罪(178条),(エ) 監護者わいせつ・監護者性交等罪(179条),(オ) これらの未遂罪(180条),(カ) 強制わいせつ等致死傷罪(181条)が規定されています。
   ※ 刑法は,その位置からすれば,強制わいせつ罪なども,社会法益に対する罪とみていたものといえますが(学説では小野など),今日ではこれらを個人法益に対する罪とみることでほぼ一致しています。
   ※ 淫行勧誘罪については,「性的自由に対する罪」とみる見解もありますが(団藤・平野・大谷・中森),本HPでは「性的風俗に対する罪」の方に位置づけておきます(大塚・藤木・川端・前田・山口・佐久間・井田など多数説)。
   ※ 183条(姦通罪)は削除されています(昭和22年)。

       罪 名

     法 益

 

 (1) 公然わいせつ罪(174条)

 (2) わいせつ物頒布等罪(175条)

 

 社会法益(性的風俗)

 

 (3) 強制わいせつ罪(176条)

 (4) 強制性交等罪(177条)

 (5) 準強制わいせつ・準強制性交等罪(178条)

 (6) 監護者わいせつ・監護者性交等罪(179条)

 (7) (3)~(6)の未遂罪(180条)

 (8) 強制わいせつ等致死傷罪(181条)

 

 個人法益(性的自由)

 

 (9) 淫行勧誘罪(182条)

 (10) 重婚罪(184条)

 

 社会法益(性的風俗)

 この章では,条文の順序に従って,「公然わいせつ罪」(174条 )と「わいせつ物頒布等罪」(175条 )について勉強しておきましょう。

 

                                                                         公然わいせつ罪