NPO法人環境研究所豊明


おらが農園事業

ふゆみずたんぼ
◆ふゆみずたんぼの活動はこちら
◆ふゆみずたんぼの植物・生きもの(2013年5月6日)

NPO法人環境研究所豊明は、休耕田や農家の高齢化に伴い耕作を放棄した田んぼを元の田んぼに返す活動をはじめました。

目的
 安全で安心して食べられるお米を自分たちで作りたい。
 米作りを未来世代に引き継いでいきたい。
 田んぼに棲むいろいろな生き物のいのちを育むために、年間を通して水を張った田んぼ(ふゆみず田んぼ)づくりをしたい。生きものがいっぱいの田んぼに!
● 地域で農業生産が行われることによって地域の環境・暮らし・文化など歴史的に築かれてきた経緯を守らなくていけない。
● 自然と調和した生産活動を持続的に行い、多面的な機能を回復させたい。

       
「ふゆみずたんぼ」とは

 ふゆみずたんぼ「冬期湛水」
 江戸時代の1684年「会津農書」の中に「田冬水」という表現として出てくるそうです。
この農法は、通常は水田を乾かす冬期~春期に、あえて水田に水を張ります。
一風変わったこの農法ですが、化学肥料や農薬を使わないお米つくりが可能になり、しかも、多くの生きものがその田んぼに住みつき、広く大きな田んぼの生態系が実現するといいます。
 何故、古くから伝わるこの農法が今、話題になっているのか。
「ふゆみずたんぼ」は、環境破壊やエネルギー依存という現代社会の抱える問題を救うきっかけになり得る可能性があるからです。
 冬場の田んぼに水を張ると、菌類やイトミミズといった小さな生物が田んぼの中に住むようになります。これらは水の中に沈んだ稲わらが分解される事で生じた微生物などを食べ、糞を排泄します。これが土を耕す事になり「とろとろ層」と呼ばれるフワフワの土壌を形成します。
この「とろとろ層」はとても柔らかく、雑草の種が田んぼの上に落ちると沈み始め、どんどん土深くもぐっていきます。そうすると、種は発芽する事が出来ず雑草の発芽を抑える事が出来るとされています。また、田んぼの土壌も豊かになります。
また、田んぼに舞い降りた野鳥は、「ふゆみずたんぼ」に生息する微生物や小さな生物をエサとします。

 イネづくりで大切なことは、イネ自身の生命力を引き出し、農薬が必要ないくらい丈夫に育てることです。健康でいるのに「免疫力」が大切なのと同じです。そのために大切な技術は、5.5葉の成苗作りです。普通の田んぼでは23葉の稚ない苗を数本ずつ植えます(稚苗の密植といいます)が、冬・水・田んぼでは根をしっかりと張った苗にしてから、1〜2本ずつ植えます(成苗の疎植といいます)。
 
 豊明市間米町の休耕田で私たちも「ふゆみずたんぼ」に挑戦することにしました。
 周りの注目を集めながら、新たな米作りを始めまています。

2010年のふゆみずたんぼは水が漏れて断念しました。
2011年、場所を変えて再びふゆみずたんぼに挑戦。5月15日に田植えをしました。いろいろな生きものが増えてきました。今後が楽しみです。

「田んぼと生物多様性」

 日本の水田稲作はおおよそ紀元前3~5世紀の弥生時代だとされています。稲作の歴史は2500年以上ありますが、現在では日本の耕地面積の60%を占めているそうです。穀物生産の90%が米で主食です。
 水田で育つ生きものは、トンボやカエル、ホタルなど日本人の暮らしと深いかかわりを持っていますが、多くの水生生物は、水田に頼って生きて延びているのです。
 湿地の役割も担う水田は、野生生物の生息場所としても重要であることは、2008年韓国で開催された第10回ラムサール条約締結国会議において「水田決議」が採択され、公式に承認されました。
 田んぼは、人の食べ物を提供するだけではなく、多様な生き物のいのちを育んでいます。放棄しないで、水田耕作は未来につなげて耕作していきたいものです。
 高齢化した農家の手助けや、米作りも私たちにできることもありそうです。子どもたちにも伝え続けなくていけないと思っています。

◆「水田決議」

 2008年10月28日から11月4日に韓国昌原市で、世界の湿地の保全と賢明な利用を目指すラムサール条約第10回締約国会議(COP10)が開催され、水田が大きな注目を浴びました。
 水田は、農地と湿地の機能を併せ持つ「農業湿地」で、適切な水田農業は湿地の持続可能な利用の可能性を秘めています。
 COP10では、日韓政府共同で水田の生物多様性向上に注目した水田決議案X31(「湿地システムとしての水田の生物多様性の向上」)を提出し、本会議で採択されました。

どうする食糧危機時代!      豊明有機循環推進フォーラム2008   2009.1.31開催
パネリスト 篠原 信氏 講演から

 近代に入ってから続いてきた、そして私たちが信じてきた四つの大きなパラダイムが崩壊しつつある。
 
その一つは、石油で食糧を作るパラダイム。近代農業は石油を大量に消費しており、石油がなくては食糧が作れない。その石油の枯渇問題等で、20年後くらいから崩壊が始まる。

 二つ目に、工業製品が高く売れるパラダイム。中国・インドが工業力を持ったことでこのパラダイムも崩壊しつつある。
 三つ目に、石油兌換紙幣としてのドルのパラダイム。クウェートがユーロでも石油を購入できるようにし始めたことにより、このパラダイムも崩壊し始めている。
 四つ目に、地球は無限に大きいというパラダイム。人類は地球にどれだけ負担をかけてきたか。地球は有限であることに人類は気づいた。

まとめると、
①、国内で食糧をまかなう事は出来ません。3,000万人の食糧が精一杯、石油を使っても5,000万人程度。
②、工業製品が高く売れなくなる時代になるので、海外との貿易で儲からない時代になる。
③、食糧が買えなくなる。
④、世界的にみても石油で食糧をつくることが出来なくなるので、日本は率先して石油を使わない農業技術に脱皮しなければならない。
⑤、出来るだけ自給率を高める努力をしなければならない。

⑥、矛盾するようだが、日本はものづくりを大事にしなければいけません。海外に物を売ってそのお金で食糧を買うということを続けなければいけません。
⑦、世界平均の生活レベル、石油の消費は3分の1に押さえよう、食糧の消費は今の3分の2に押さえよう。そうすることで、世界の人たちに迷惑をかけないことが先進国の務めではないかと思います。
⑧、世界平均生活が目に見える化をすすめてゆく。たとへば、スーパー等で穀物換算表を使い、肉を買ったら穀物をどのくらい買ったことになるといったような事がわかるようにする

         

間違いだらけの機械化農法   岩澤 信夫氏講演会から 
 
 手作業で行った昔の稲作は重労働でした。機械化はこの重労働から農民を解放してくれました。素晴らしいことですが反面多くの問題を抱えるようになりました。一番問題なのは化学肥料と化学農薬の洪水を招いたことです。
 2000年の日本の歴史の中に化学物質の投入はなかったのです。なぜ、化学物質がなければ稲作はできないのでしょうか。それは機械化が悪いのではなく方法手段が悪いのです。さらに工業的な発想と合理性の追求が現在の形を作ったのです。モノを作り、モノを使い、モノを消費してモノを作る。工業化社会の一面が浮かび上がります。
 モノを作るには大きなエネルギーが必要です。
 

農業はエネルギー消費産業だ    

 今の稲作は、或る試算では10aで175ℓの石油が必要だとされています。私たちが知らない間にエネルギーの消費産業になっていたのです。資源枯渇の時代を迎え、もし石油が無くなったら今の稲作はできないのです。代替エネルギーが開発されなければ、子どもたちや孫の代にはお米(ご飯)が食べられないのです。その時は、いくらお金があっても何も買えなくなっています。
 無資源国の日本はどうしたら良いのでしょうか。食べ物がなければ」生きていけません。今から真剣に考えましょう。

◆生きものいっぱいの田んぼの価値

 田んぼは冬期に湛水をすればどこでも生きものがいっぱいの田んぼは出現します。
 米を100俵生産する農家は100人の生命を預かっています。さらに100俵の米を生産する田んぼの生きものの命を預かっているのです。
 生きものは田んぼと同じく子どもたちや孫たちに引き継がなくてはならない日本の財産なのです。
 機械化農法はこの視点が残念ながら欠けていました。
 田んぼにメダカもドジョウも棲めるような稲刈り後の田んぼ維持手法に配慮がなかったのです。今からでも遅くないのです。

◆生きものたちの奏でる生物資源型農法

 田んぼの生きものたちの生命活動で稲作をするという発想は世界中にありません。しかし、私たちが20年間も追い続けた不耕起移植栽培に、冬期湛水という手法を重ねることによって花が開いたのです。
 1994年提案した宮城県田尻町でマガンのグリーンツーリズム作戦で、マガンが訪れた冬期に水を張った田んぼには雑草が5月の田植えまで生えなかったのです。マガンが食べただけではなく、イトミミズやユスリカの幼虫などの土壌生物の仕業だと分かったのです。今では4万羽のマガンが訪れるラムサール条約の締結地になっています。