NPO法人環境研究所豊明

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Eco堆肥(生ごみ堆肥)使用の農業を推進します!
植物にとって理想の土

なぜ土が必要か
植物にとって、根はとても重要です。1つは、植物の体を支える働き、もう1つは、土の中にある水分や養分を吸収して、茎や葉に送る働きをしています。根は、とても合理的な機能でこの働きをしています。土の溶けている様々な成分の中から植物が必要としている成分を選んで必要な量だけ取り入れています。以上のような働きをしている根の住まいが「土」なのです。植物が丈夫で元気に育つよう快適な環境にしてやることが大切です。
植物の根が快適な土とは、新しい酸素が十分に入り、呼吸によって出た炭酸ガスを効率よく排出する、空気の通りのよい土です。空気の通りのよい土は水はけもよいものです。水はけが悪いと根のまわりが過湿になり、酸素が足りなくなり根腐れを起してしまいます。

団粒とはなにか
団粒とは細かい粒子がくっ付いて団子状になったもののことをいいます。細かい粒の土よりも、団粒化して団子状になった土のほうが、隙間が大きくなります。この隙間によって、土にほどよい通気性、排水性、保水性が生まれます。また、肥料を蓄えておくことができるので、植物に肥料を少しずつ与えてくれます。
さらに、水のとおりがよいので、水が通るとき古い空気が押し出され、新しい空気が入ってきます。根にとって団粒化した土は理想的な環境なのです。
この団粒をつくるのが、微生物と堆肥です。

堆肥の効果

堆肥には次の効果があります。
1.土壌を団粒化し、通気性・水はけ・保水性・肥もちをよくする。
2.堆肥を餌とする微生物が殖え、有害微生物を抑制する。
3.吸収し難いリンサンや微量要素を吸収しやすくする。
4.有害物質が植物に与えるショックをやわらげる。
自然界では、循環によって有機物が土に還元されますが、家庭菜園などその循環が絶たれているため堆肥を入れることで土の中の有機物を補う必要があるのです。

土の中での微生物の働きと有機物が堆肥になる過程

土1gに1000万〜1500万の微生物たち
土の中にはさまざまな微生物が住んでいて、それぞれが、自然の循環の中では欠かせない働きをしています。土中の微生物が循環に果たす役割は大きいのです。
土には微生物からミミズ、トビムシ、昆虫の幼虫、ダニ、モグラなど小動物にいたるまで多種多様な生物が生きています。

自然にやさしい有機質肥料には、油カス、牛フン、鶏フン、骨粉などいろいろな種類があります。しかし、いずれの有機質肥料もそのままでは、植物は吸収することはできません。
有機質肥料そのものが植物の栄養素であるチッソやリンサン、カリに変わらなくてはならないのです。その変化の過程が「発酵」と呼ばれます。完熟などの表示は発酵が終わって植物が吸収しやすい状態にすでになっていることを意味します。この発酵の過程で活躍するのが様々な微生物なのです。

微生物には「菌(カビ)」と「細菌(バクテリア)」とに分けることができます。細菌の方が小さく土の中では多いのです。発酵の過程の中で、菌は有機物を「物理的に分解」する働きをします。一方の細菌は「化学的な分解」を受け持っています。生ごみを微生物資材と混ぜると、まず、菌が活躍します。主として糸状菌ですが、酸素を好みます。酸素をどんどん取り入れながら生ごみを発酵させていきます。この段階では、空気を多く送り込んでやる必要があります。「切り返し」の作業が必要なのはこのためです。空気が必要な発酵なので、「好気発酵」とよび、糸状菌を「好気性微生物」といいます。

好気性発酵が進むと発酵熱を盛んに出します。すると、この熱で糸状菌は死んでしまいます。また、糸状菌の1種である、放線菌と呼ばれる菌が糸状菌を食べてしまいます。次からは放線菌が活躍します。その後、細菌が活躍し始めます。細菌の場合は、それほど酸素を必要としません。そのため、この細菌を「嫌気性微生物」と呼んでいます。このようにいくつかの段階を経ながら、有機物が次第に変化して堆肥となっていきます。

発酵と腐敗
発酵と腐敗は非常に微妙なところで分かれています。一般的には好気性微生物は発酵を、嫌気性微生物は腐敗を促すといわれいますが、条件によって逆に働いたりすることもあります。
いずれにしても、生ごみを堆肥にするには、最初が肝心です。いかに、うまく好気発酵を促すことができるかが重要なのです。好気性微生物を促すには、好気性微生物が好む空気を送り込んでやる必要があります。ですから、堆肥づくりでは、最初の段階で切り返しがとても重要な作業となるのです。しかし、やりすぎると温度低下を招いてしまい、発酵が進まなくなります。上手に堆肥をつくるポイントはいかに的確に切り返し作業を行うかにかかっているといえるでしょう。

生ごみ堆肥をつかってみよう

堆肥を使う時は必ず完熟かどうかを確かめましょう。
未熟なまま施してしまうと次のような失敗をして植物が育ちません。
1.発芽障害
未熟な堆肥は、まだ発酵が進んでいます。したがってアンモニアなどのガスが発生して根や葉等に影響を与え、種をまいても発芽せず生長しません。

2.チッソ分が不足する。
堆肥はチッソ分が豊富ですが、微生物はこのチッソを養分として活動しています。このためチッソが不足してしまい、草花や作物に養分が行き届きません。

3.病害虫におかされる
未熟堆肥のにおいに誘われて、害虫や病原菌が取り付きます。とくに、害虫が産卵するとその幼虫が根を食べてしまいます。以上のほかに、未熟堆肥を見分ける方法として1つは、堆肥材料の形がそのまま残っている状態です。完熟すると分解してポロポロになっています。もう1つは、においです。未熟な堆肥は、不快なにおいがします。全体に水っぽい状態になっています。

堆肥をほどこす時期は冬から早春にかけてが最適
土になじむまでには1〜2ヶ月はかかります。春以降の種まき、苗の植付を考えると冬がよいわけです。

栄養豊富な堆肥は石灰と一緒にほどこさない
苦土石灰などは、チッソ分の多い堆肥と一緒にほどこすとアンモニアガスを発生します。1〜2週間、間を空けるのがよいでしょう。


参考資料:土づく入門(主婦と生活社)  土のはなし(大月書店) 
生ごみを堆肥化する

                   

 現在、農耕地が最も欲しているものは堆肥です。化学化をその特質とする現代農業の最大の弱点は、炭素循環を無視していることにあるからです。作物の吸う養分だけに目を向ければ、作物が土中から吸収した養分量に相当する量を土に返してやれば収支がゼロで、何も問題が起きないようにみえます。でも作物は、養分のみで健康に生育することは出来ません。

作物の身体を維持し、光合成を行うのに必要な水と根の呼吸のための空気が欠かせないのです。病虫害が発生しにくいように、土中の小動物や微生物が豊かに生息していることも大切です。土のこのような働きを保護するのが堆肥なのです。


生ごみ堆肥の良好な栄養バランス

高度経済成長期に入る昭和35年までは、全国平均1ha当たり10トンの堆肥が農耕地に投入され続けていました。それが現在、1トン前後までに落ち込んでいます。1ha10トンという祖先の血のにじむような遺産があるからこそ、堆肥を供給しなくても、農薬や化学肥料の力を借りて、かろうじて現在の収量が維持されているのです。この状態が続けば、いつの日か、土中の有機物量が限りなくゼロに近づき、地力が回復不可能なほど大幅に低下することが目にみえています。

でも、堆肥を自分で作るのには、素材が入手しにくいことに加え、労力と時間がかかりすぎます。合理的な価格で手に入る堆肥がどうしても必要です。生ゴミの堆肥化は、その重要な解決策の1つなのです。現在わが国で、家庭・レストラン・食品工場などから排出される生ごみの総量は約2,000万トン。そのうち堆肥などにリサイクルされているものは1割に満たず、残りは焼却・埋め立て処理されています。カリウムやカルシウムなどの植物養分を豊富に含む焼却灰は、埋立地に滞留し続けるのです。焼却に際し、ダイオキシンの発生も懸念されています。


一方、堆肥にされれば、生ごみのなかの作物養分は土にかえり、再び作物に吸収されることができます。しかも、生ごみを主成分とする堆肥は、素材が多様であるため、素材が単純な家畜糞堆肥やわら堆肥に比べて養分バランスが良いとされています。稲わら堆肥と生ごみ堆肥の施肥効果を比較した多くの実験の結果は、生ごみ堆肥の優秀性を裏付けています。

分別の成否が成功の鍵

このような生ごみ堆肥の有効性にもかかわらず、農家の方々のなかには、それに拒否反応を示す方々が少なくありません。それには理由があります。昭和42年頃、生ごみ堆肥の大型プラントが、全国48ヶ所で稼働していたことがあります。しかし分別が機械でおこなわれていたため、できた堆肥は、重金属やビニール・プラスチックなどが混入し、とても使えるような代物ではなかったのです。生ごみの堆肥の成否は分別の良否にかかっているのです。人間の目による分別にまさるものはありません。住民の間で、分別についての徹底した話し合いが欠かせないのです。ですから、生ごみの堆肥化は、農家の方々と市民との自発的な運動から出発し、行政が後押しするかたちでないとうまくいきません。

良い堆肥が欲しいという農家の方々の要求と安全・安心・美味の農産物を食べたいという市民の願いがドッキングして、はじめてよい結果が得られるのです。こうして、生ごみの堆肥化は、地域内の安定な物質循環を保障するだけでなく、地域で生産されたものをその地域で消費するという、いわゆる地産地消にもつながっていくのです。

 
わが国の耕地面積は約500万ha。1ha当たり10トンの堆肥を投入すると、その総量は5,000万トン。生ごみをすべて堆肥化しても、とても追いつかない量です。わが国で排出される有機性廃棄物に含まれる養分は、化学肥料消費量を超えています。

わが国の地力を維持していくために、生ごみ以外の有機性廃棄物の堆肥化をも、みんなで考えねばならない課題です。

出典:
「新農家暦2004年」農林統計協会編 岩田進午