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エジプトの米は日本から-エジプトの農業と稲作、日本の協力-(その1)

2008年10月16日

はじめに
エジプトでは、毎年のように夏になると水不足が発生します。水資源を管轄している水資源灌漑省にダムからの放流量を増やすよう求める要請のみならず、時には、農家同士が水をめぐって争うという事態が発生します。この時、稲作は水を使いすぎるといった点で、いつも批判の対象となっています。2008年8月には、農業土地開拓大臣が、上エジプト地域の稲作を2009年度から全面禁止する旨発表しました(8月19日付け当地の新聞報道による)。米のほか、有力な換金作物が無い中での作付け禁止は、その実効性が疑われますが、そもそも米を作っているからといって、水を浪費しているとは、日本での研究結果を踏まえてみると、言えないのではないでしょうか。もちろん、エジプトと日本は地形や気候風土が全く違いますので、日本の事例がそのまま当てはまるとは考えていませんが、かといって、エジプト側の科学的根拠は浅学の小生(進藤)には今のところ不明です。稲作自体より、水の使い方、配分の仕方に問題があることは政府も認識しており、現在、当プロジェクト(水管理改善プロジェクト2)のほか、欧米ドナーが活動しているところ、稲作を禁止する前にやるべきことがあるのではないかという気もしますが、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。
論争が尽きないエジプトの稲作ですが、実は、日本とは深い関係にあります。今回は、「エジプトの米」についてまとめてみました。

1 エジプトにおける農業と稲作の概要
エジプトの第6次5か年計画(2007/08-2011/12)による長期農業開発計画は、生産量増大、食料安全保障及び輸出振興、農村部の雇用拡大を3本柱とし、具体的な政策として生産性の高い品種の導入、新規開拓の拡大、土地及び水の有効利用に資する作付け規制等が行われています。
農作物の作付け状況は、夏季にメイズ、米、綿花、冬季には小麦のほか、クローバー(飼料用)が上位を占めています。ただし、主食である小麦は50%近くを輸入に頼っており、パン価格の高騰などに対する不満から、2008年4月8日には、マッハラ・エル・コブラで暴動が発生しています。日本でも報道されましたので、記憶されている方も多いかと思います。一方、米は100%自給しているほか、輸出もしています。
エジプトの米は日本と同様に水稲栽培であり、アスワン・ハイ・ダムから放流できる水量は、スーダンとの取極めにより毎年一定量(555億トン)であるにもかかわらず、米は収益性が高いことから、作付面積は近年急激に増え(*)、水不足の一因になっているとも言われています。エジプトでは、日本のように、農家・農協が一体となって作付け調整を行うような仕組みはありません。このため、現在、農業省と水資源灌漑省は米の作付け規制を設けていますが、守られていないのが実態です。水利用についての調整も、現在、当プロジェクトのほか、欧米ドナーの協力で、水利組合を育成し、水利調整が出来るような体制を大急ぎで構築しているところです。
なお、エジプトの米の単位面積あたりの収量は世界的に見ても最高水準と言え、以下のとおりです。その米は、元をたどれば日本から導入されたものなのです。(次回に続く)