* 11 *


 奮戦も虚しく、バーニィは生け捕りにされた。
バーニィを除くすべての者は坑道内でその命を落とした。

バーニィを待っていたのは激しい拷問。
サテライトベルトにある本拠地の座標を吐かせるためだ。

サテライトベルトは常に回っている。
その速度は惑星の自転と同じではない。
地上からも動いている様子は確認できる。

本拠地への帰還は、暗号化した座標情報をバニー号が受信し
それを解読した後に行われている。
キャストならまだしも、
生身のビーストであるバーニィが言えるはずもなかった。
言えたとしても、バーニィは口を割らなかっただろう。

バーニィを捕まえたヒューマンたちは、
一網打尽にするための罠として、
公開処刑を行うことにした。
助けに来たところを捕まえようという見え見えの罠だ。

公開処刑の情報は、サテライトベルトに戻ったアーツにも届いた。

「間違いなく、罠だ。」

アーツは数値を言わず、罠だと断言した。

『確率や可能性なんて問題じゃない。』
バーニィの言葉が繰り返し思い浮かぶ。

 ― 救出に向かう。

それがバーニィの望むことではなかったとしても、
救出できる確率が限りなくゼロであったとしても、だ。


バニー号は、バーニィの処刑が行われるダグオラシティへ向けて発進した。






 処刑当日の朝、バーニィは両腕を後ろ手に縛られ、足枷をはめられた状態で
用意された処刑台の上に運ばれた。

ヒューマン、ニューマン、キャスト、ビースト。
数多くの見物人が集まっている、
また、この様子はグラールの全星域に生中継されている。
ヒューマンに反抗する勢力に対する見せしめとするためだ。

1人のヒューマンが、声高に演説を始めた。
「よく見るがいい!!
 これが我々ヒューマンに盾突いた愚か者の姿だ!
 この哀れな姿を見ろ!!
 汚く、臭い!
 大人しく従っていれば、こうはならないのだ!!
 それは約束しよう!
 我々ヒューマンに従えば、このような無様な姿にはならない!!
 このような仕打ちは、我々もしたくはないのだ!
 だが、このビーストは世を騒がせた!
 この男が我々が共に汗水を流して得た物資を奪い続けたために、
 過剰な労働を強いるしかなかったのだ!」

そこまで言うと、ヒューマンの男は
バーニィに近寄った。

そうして耳元に口を近づけると、こう言った。

「いまここで、我々に忠誠を誓うと宣言するのならば、
 命だけは助けてやろう。
 貴様を助けに来た仲間たちの命も、な。」


 ― 嘘をつけ


この男にそんな考えは更々ない。
ただ、群衆の前でヒューマンの絶対的優位を見せ付けたいだけだ。
反抗することが愚かしいと、無駄なことだと植えつけさせたいだけだ。

だがバーニィは、これは最後のチャンスだと思った。
自分の考えを、モトゥブに住む人々に知ってもらうために。

バーニィは力なくうなづく。


ヒューマンの男は満足気に笑うと、
再び群集を向き直った。



「だが!!
 我々ヒューマンは寛大だ!!
 この男が、いまここで、自らの罪を認め謝罪し、
 我々に許しを乞うというのならば、
 我々はこの男を許そう!!」


どよどよと、群集にざわめきが走る。
各所に配置されたヒューマンたちが拍手をするが、
その音はまばらだ。

ヒューマンの男は、それが気に入らなかったのか、一瞬顔を歪めた。
そして、バーニィを立たせるように命令し、
自分は脇へとほんの少し移動する。


「モトゥブの人々よ!! 聞いてくれ!!」


バーニィの最初で最後の演説が始まった。




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