安南焼蜻蛉文茶碗とは

平成23年度4月14日

:安南(べトナム)で作られた陶磁器の総称。
安南焼・安南手とも。「安南」の語は唐朝が辺境地域の支配のために設置した六都護府の一つ安南都護府に由来する。ベトナムでは中国陶磁器の影響のもとに早くから白磁・青磁が焼かれていたが、14、5世紀から染付・赤絵の製作も始まり、室町末期から江戸前期にかけて多くの安南が舶載された。その文様は竜・獅子・鳳凰・鹿・鶴などの動物文と魚・蝶・蜻蛉のような魚虫類、草花は牡丹文・唐草文などがあるが、絵付けがゆるい。
染付に用いられた胎土は、良質なカオリンが産出しないため純白にならず、全体に白化粧が施され、その上に文様を描き、灰分が多いため灰青色をおびた透明釉がかけられている。そのため肌合いに磁器のような透明感がなく乳濁し、元・明染付に比べ柔らかい印象となる。透明釉が釉裏の呉須をにじませて流れるような景色のものを「絞手(しぼりで)」と呼び、茶陶として喜ばれた。茶碗・水指・花入・鉢などがあり、安南染付・安南赤絵などの称がある。