
4.日本一といわれる施設とは・・・・
それは、一の口井堰です。
この「一の口井堰」は旭川から水を取水している斜めに設けられた井堰です。
取水した水は、大井手用水路を経て、建部郷の水田を灌漑しています。
「一の口井堰」の紹介
場所岡山市建部町品田(久具地区)北の外れ
・取水場所は、設置時には備前岡山藩と津山藩との国境に設けられ、井堰の先端は、旭川の真中の国境まで伸びている。
・東岸は美作の高瀬舟の舟通しと舟着き場になる。
設置年
寛文6年(1666年)から貞享元年(1684年)の18年間における期間に施工されたと思われる。
(1667年頃完成と言われていますが多少後年になる)
設置者
備前岡山藩(建部池田氏)
当時 建部郷は備前岡山藩の6家老の一人である建部池田(森寺氏)の所領であるが、この時期 備前岡山藩主である
池田光政の新田開発による安全・安心生活の向上治政への意気込みから、直轄工事とも考えられる。
言い伝えによると・・・ 旱魃により、旭川の水を川下に送るべく井堰を下流から開放する作業をして来たが、
「一の口井堰」は開放できなかった・・・これから想像すると何がしかの権力が働いたと思われる、それは備前岡山藩の影響ではなかろうか
施工指導者
熊沢蕃山(企画指導)・津田左源太永忠(施行実習)と見るべき
構造:(片持ち)傾斜式総石張り 流心角度45度
(片持ち)傾斜式の構造にせざるを得ない訳は、設置場所でも述べているように、取水の
旭川中央が国境であった為に、対岸に堰の支持基盤を持つことが出来なかつた為である。
堰の規模:
長さ648m(公表文献によると515mとなっているが、今回コンパス測量によると133
m長い)
(参考:長さ648mはの測定は取水樋門口〜斜め堰先端まで)
幅50m(取水樋門付近)、高さ2m(取水樋門部の水位
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井堰の先端に設けられた石群 |
旭川東岸に向けて延びる石群 |
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巨石群を上流より |
井堰の上流より全体を望む、真中が旭川本流 左は中州 |
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先端の巨石で井堰の長さ測量 |
巨石の一つの大きさ測量 |
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長さ2m・高さ1mの巨石(たたみ一畳の広さ) |
最大の石 長さ2m・幅3m |
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東岸から井堰の先端を望む |
東岸から先端石群を望む(手前の緑は東岸河原) |
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東岸から井堰の先端の石群と石組み(堰の上で緑が見える)を望む(右が上流側) |
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旭川西岸から井堰の先端の石群を望む |
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旭川西岸から井堰の先端の石群と石組みを望む |
奥から高瀬舟通し流れ/真中が本流/手前が導水路< |
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旭川西岸から冬の井堰の堤 |
旭川西岸から井堰の石組みを望む |
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旭川西岸から井堰の先端と導水路を望む |
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旭川西岸から井堰の石組みを望む(水面と水平に見える部分はコンクリート補修) |
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旭川西岸から井堰の中央を望む |
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石組みから導水路を望む |
導水路に接する石組み |
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石組みの導水路側(水が石の間を流れる) |
石組みは導水路側から蒲鉾形状で旭川本流に |
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石組みの旭川本流側 |
石組みの旭川本流側が水に接す |
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井堰下流の石組みの例(水流に耐える為大小の石を見事に組合せて350年以上頑丈に) |
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石組みの導水路側施行例 |
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第1土砂吐け石組みの下流側 |
第1土砂吐け下流側石組みの積石 |
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第2土砂吐けから上流側を望む |
第2土砂吐けから上流側を望む |
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第2土砂吐け から旭川本流に越流する |
第2土砂吐けの水路(水路の先は旭川本流) |
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第2土砂吐け から旭川本流の上流を望む |
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日本一の項目
農業用水用井堰としては、堰の長さが日本一である。傾斜式総石張りでの長さが648mの規模である事。
第17回土木史研究発表会(土木学会主催)の発表資料から
発表された「斜め堰」の歴史的・河川工学的研究(平成9年発表)によると、
「日本取水堰誌」(昭和17年)では当時日本の代表的取水堰の約1/4が
斜め堰であるとの報告がある。 又その発表された対象「斜め堰」と「一の口井堰」の
主要項目について比較してみる。(「一の口井堰」については今回表記)
建部郷大井手用水の一の口井堰と日本の代表的斜め堰比較 平成19年8月作成
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名 称 |
一の口井堰 |
磐城小川江筋取水堰 |
山田堰 |
第十堰 |
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所在地 |
岡山県岡山市 |
福島県いわき市 |
福岡県朝倉町 |
徳島県徳島市藍住町 |
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河川名 |
旭川 |
夏井川 |
筑後川 |
吉野川 |
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着工〜完成年 |
1666〜1684 |
1651〜1652 |
1668〜1757 |
1752木杭蛇篭捨石 |
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原堰の改築年 |
無し |
昭和7年(1932) |
寛政2年(1790) |
文久年間 |
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当初の目的 |
農業用水取水 |
新田開発 |
農業用水の |
吉野川下流(現在の旧吉野川)の農業用水の確保、塩害の防止分水堰 |
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現在の目的 |
農水 |
農水(973ha)と上水 |
農水(663ha) |
吉野川堰上げと旧吉野川への導水上水、工水、農水 |
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責任者 |
備前藩 |
磐城平藩主 |
黒田藩許可 |
阿波藩主 |
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設計監督者 |
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澤村勘兵衛勝為 |
庄屋 古賀百工 |
藩奉行 |
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施工者 |
受益農民夫役 |
普請 |
受益農民夫役 |
? |
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原堰の管理者 |
建部郷 |
磐城小川江筋 |
山田堰土地改良区 |
建設省四国地方建設局 |
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用水路延長 |
L=6.2Km |
1633開削着手〜 |
1663堀川用水 |
− |
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斜め堰の経緯 |
1654夏大洪水で多数の溜池決壊(当初から片面締切の斜め堰) |
1650夏大旱魃 |
1662旱魃 本川を斜めに半分締切「鳥居岩」岩礁部取水1722切貫門取水口変更(当初は半断面締切の斜め堰) |
徳島城導水の別宮川(現吉野川)旧吉野川への農水確保、塩害防止堰、堰上流堆砂、流路変更上堰築造堆砂促進、吉野川に樋門設置、別宮川が現在吉野川となり斜め堰 |
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河川形状 |
曲線部 |
曲線部 |
曲線部 |
現在直線部 |
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構造 |
傾斜式総石張り流心斜角45度 |
多段式木工沈床 |
傾斜式総石張り |
蛇篭、捨石 |
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堰の規模L,W,H |
L=648m, |
L=98m, |
L=282m, |
L=1,012m, |
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構造比較 |
唯一 片持ちの斜め堰 |
両持ちの斜め堰 |
両持ちの斜め堰 |
両持ちの斜め堰 |
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検証結果 |
4施設では基本構造が唯一異なり、そうした事から、斜め堰で日本一の長さ |
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塩害の防止分水堰と上水、工水、農水の複合目的の堰である |
岡山大学農学部によるアンケート調査から
[岡山県和気町 田原井堰とその歴史的背景(田原井堰調査報告書)昭和61年作成 ]から転記する。
本調査は昭和55年に全国の都道府県にアンケートを実施した結果である。
調査事項
「農業用水取入堰とし現在活用されている石張り洗い堰」の存在有無を指定項目に従って回答を求めた。
結果は、(新潟、愛知、和歌山、広島、愛媛)の5県を除く42県から回答があった。
直角、斜め構造の井堰が総数62件ある事が集約された。
その内から規模の大きい井堰を以下掲載した
農業用頭首工(石張り洗い堰)調査抜粋
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県名 |
河川名 |
所在地 |
築造年 |
受益面積(ha) |
堰の長さ(m) |
備 考 |
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1 |
岡山 |
旭川 |
岡山市建部町 品田 |
江戸初期 |
304 |
648 |
斜め堰 |
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2 |
岡山 |
旭川 |
岡山市御津 草生 |
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42 |
307 |
斜め堰 |
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3 |
福岡 |
筑後川 |
朝倉郡朝倉町 |
1664年 |
698 |
148 |
斜め堰 |
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4 |
山梨 |
富士川 |
韮崎市丹野地内 |
昭和49年 |
650 |
140 |
直角堰 |
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5 |
兵庫 |
岸田川 |
美方郡浜坂町栃谷 |
昭和12年 |
15 |
84 |
直角堰 |
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6 |
富山 |
片貝川 |
魚津市黒谷 |
昭和50年 |
1,657 |
73.85 |
直角堰 |
|
7 |
栃木 |
大芦川 |
鹿沼市引田 |
明治初期 |
16 |
70 |
斜め堰 |
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8 |
富山 |
黒部川 |
下新川郡宇奈月町愛本 |
昭和48年 |
7,523 |
65.6 |
直角堰 |
|
9 |
栃木 |
大芦川 |
鹿沼市引田 |
明治初期 |
8 |
55 |
斜め堰 |
|
10 |
山口 |
大井川 |
徳佐中(小野田頭首工) |
明治以前 |
23 |
54 |
斜め堰か不明 |
|
11 |
山口 |
杢路子川 |
西市(川中曽下堰) |
明治以前 |
2 |
50 |
斜め堰か不明 |
岡山県和気町の田原井堰は、現在新しい井堰となっているが、江戸時代に築造された井堰は、
「斜め堰」・「堰の長さは488m」であった。
この調査からも、判るように歴史の古さ、堰の長さ共に「建部郷 大井手用水用井堰」の長さが
群を抜いている事が判る。
従って この調査報告でも、「建部郷 大井手用水用井堰」の堰長さ(斜め堰、直角・一文字堰をも含めて)が
日本一である事が証明されている。

[地図では見えない堰石がある]
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場 所(井堰) |
基点からの距離 |
堤の幅 |
施 設 説 明 |
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取水樋門 |
0m |
29m |
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第2土砂吐口 |
40.0m |
53m |
吐口幅は4.75 m |
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第1土砂吐口 |
106.75m |
46m |
吐口幅は8.5 m |
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井堰先端巨石の最終 |
600.00m |
2m |
平成20年1月に渡河可能な巨石 |
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井堰先端 |
648.75m |
1m |
旭川水流中の井堰用石まで (平成20年1月に水面から石が出ている) |
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