
4号戦車は、第二次大戦の初期から最終局面まで使用され続けた、ドイツで最多生産をほこる戦車である。5年以上にわたって、A型からJ型まで次々と改良が重ねられている。このF2型は43口径の75mm砲を搭載したタイプで1942年に登場した。対戦車戦闘能力が飛躍的に高まったため、北アフリカの戦いに投入されたとき、連合軍側からは「マーク4スペシャル」と呼ばれて恐れられたという。この模型は1970年代の後半にITALERIが発売(日本ではTOMYが日本語パッケージを発売)したものであり、すでに20年以上たっている。そのため、最近のきわめて精度の高いAFV模型と比較すると、個々の部品の精度が劣り全体的におおざっぱな感じがするが、模型全体の印象は4号戦車の特長を的確に捉えていて好キットである。TAMIYAの新H型と比べると車体も砲塔も若干、高い(厚みがある)が、私にはITALERIのこのキットの方が4号戦車らしく感じられる。寸法的にはTAMIYAの新H型などのほうがおそらく正しいのだと思われるのだが、印象とは不思議なものだ。ただ単にシュルツェンがないせいかもしれない。F1型(24口径75mm砲)、F2、G(48口径75mm砲)の3種のどれかを選ぶことができるコンパチキットでどれに作り上げようかと悩んだが、TMFACTORYのコレクションには、24口径のD型と48口径の新旧のH型があるし、以前、ニチモのF2型をなくしてしまった経緯もあって、今回はF2型として作ることにした。ロンメルが率いた第15装甲師団所属車両である。 ◆今回の制作の方針 1、北アフリカに投入された「マーク4スペシャル」を制作する。 手元にある資料で北アフリカの4号戦車の写真を見たら、車体の前面に補助キャタピラをぶら下げて装甲の補強をしているものが目を引いたので、これを再現することにした。北アフリカの戦いの初期に投入された戦車は、ヨーロッパ向けと同じパンツァーグレイ1色であったようだが、砂漠地帯でのカムフラージュのため、現地でサンド系の色や泥などで塗られたようだ。F2型の場合は時期がだいぶ後なので、最初からサンド系の色で塗装されたものが配備されたと思われる。さて、サンド色とはどんな色か? 手元の資料では、当時の北アフリカ向け車両の塗装はゲルプブラウンという黄色味の強い明るい茶色にグラウグリュン(灰緑色)の迷彩が規定の色であったようだが、実際にはゲルプブラウンの単一色塗装が多かったということなので、ゲルプブラウンの単一塗装とすることにした。TAMIYAのダークイエローとデザートイエローを1:1ぐらいで混ぜたものを塗って、褐色でウェザリングしてみた。 2、装備品の改造や取り替え ITALERIの4号戦車は古い製品で、装備品はさすがに精度が低いので、大部分をTAMIYAのMM185の「ドイツ4号戦車車外装備品セット」のものに取り替えた。この装備品セットは、H型やJ型で使用された装備品が中心になってはいるが、ジャッキ、スコップ、消化器、ライト、その他については古いタイプの4号戦車用の装備品も含まれている。F2型は時期的には中くらいなので、どの部品を使うべきかよく分からなかったが、ITALERIのキットのインストを見ながら、同じようなものを取り替えるようにした。ITALERIのキットは一応3通りに作ることのできるコンパチということにはなっているが、実際には怪しい部分も多いという説もあったが、車載工具などは、現場で取りかえられることも多かったと思われるので、インストを基準にして適当にアレンジしてみた。車体前面のキャタピラであるが、キットに付属のポリのキャタピラでは感じがでないので、DRAGONのフンメルや3号戦車H型のキャタピラの余りや、MM185の装備品セットのものを使用することにした。しかし、これらのキャタピラは、センターガードが中抜けになっていない。非常に目立つ部分なので、DRAGONの3号突撃砲A型のあまりキャタピラのセンターガード(何とこれは中抜け)をカッターで切り取って、取り替えた。全部で39個この作業を行った。車体への取り付けの金具はプラバンで自作した。その他の改造としては、何個所かあったヒケをパテで修正したことと、砲塔上のシュルツェン取り付け用の位置指定のモールド(未確認だがH型などと部品を共有しているらしい)を削ったこと、ジェリカンを前回のsdkfz234と同様の方法で作り直したことである。やはりドイツ軍のジェリカンは、スリットがないとそれらしくない。それ以外は、水筒やヘルメットを砲塔に取り付けたことと、ワイヤーをステンレスの直径0.8mmの本物のワイヤーを使って自作したことぐらいである。キットで用意されているスライドマークは、第15装甲師団のものが2種類用意されていて、それぞれ、F1型とG型に貼るように指示されていたが、第15装甲師団のF2型にしたかったので、G型用のものを使用した。 ◆総括 北アフリカの4号F2型は、もっとほこりっぽくないといけないのだと思うが、どのように塗装したらよいのかわからず、激しいスコールでほこりが洗い流されてさっぱりした、といった感じのいわば、「風呂上がりの4号戦車」になってしまった(笑)。キャタピラの追加は自分としては結構がんばったと思うのだが整然とし過ぎている感じもするし、色が濃すぎたかもと反省している。装備品の交換により古いITALERIのキットを現在の模型の精密度をもって蘇えらせることができただろうか? |
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| 迫力ある4号戦車の勇姿。キャタピラの色が濃すぎたような気もする。 | 8個の転輪が並ぶサイドビュー。キャタピラはキットに付属のベルト式のものをそのまま使った。 |
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| 前面装甲を補助キャタピラで補強している。手持ちの資料のF2の写真には、車体前部の両側にあるボシュ型のライトはついていないが、インストの指示でライトを2つ付けた。 | アフリカ軍団と国籍マークの位置を間違えてしまった。マークソフターを使用したので、簡単には取れない。ワイヤーは直径0.8mmのステンレス製の本物のワイヤーを焼きなましして柔らかくしてから使用した。 |
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| 水筒は、エナメル線にぶら下げた。マフラーは焼鉄色に塗るべきどうかわからず、車体色にした。 | ヘルメットを2つ付けてみた。ヘルメットに巻かれているバンドはプラバンで自作。バンドが太すぎたようだ。まあいっか。ジェリカンもサイドにスリットがあるものに改造した。 |
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| ドライブスプロケットは、前についている。 | 後部のアイドラホイール。アフリカ軍団のマークが鮮やか。 |
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| 車体前部のアップ。キャタピラのセンターガードは中抜けになるように改造した。装備の工具類はほとんどTAMIYA製のものに取り替えた。 | 当時の主力戦車である3号戦車(潜水戦車のH型)との2ショット。 |
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| 組立が終わった状態。この後、キャタピラだけはずして、塗装を行った。各部品の明度の差を抑えるために、下地としてタン色をエアブラシしてからサンド色を塗装した。 | |
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