
第一次大戦の菱形戦車やFT17以来世界中で様々な戦車が作られてきたし、そのスケールモデルも、記録が不可能なほどの種類が製品化されてきたわけだが、なぜかしら、ほとんど製品化されないキットというものがある。今回、紹介するPT76はその一つだ。第二次大戦後にソ連で開発された水陸両用の軽戦車。ベトナム戦争でM48A3パットンと砲火を交えたというエピソードもあり、記録写真などにもよく登場するし、世界各地の戦車博物館などにも所蔵されているようだ。ところがなぜかこれまでまともなスケールモデルが発売されなかった。デザインは超シンプル。四角い料理用のバットのような車体は、水中浮行のために車体の先端が斜めにカットされて船のようになっている点が普通の戦車と違うが、足回りは6つの大型転輪と前後の誘導輪と駆動輪で構成されていて、砲塔はこれまたシンプルなプリン型のもの。この戦車を上から見たら長方形に丸一つあるだけという状態。しかし、このシンプルさこそがこの戦車の最大の魅力でもある。近未来的なフォルムなので、60年代のSF映画や怪獣映画の中に、宇宙人や未来人の戦車としてこの戦車が登場していたような気がしてならないのだ。前書きが長くなったが、このPT76が2002年10月にロシアのEASTERN EXPRESS社から発売された。いったいどんなキットなのだろう。 ◆今回の制作の流れ 1、とにかく、素組みでやってみよう 箱をあけると、シンプルな戦車なので部品点数は少ない。バリがそこそこあるので、丁寧に取る必要がある。なぜか白とライトグレーの2色のモールド。特に意味はないと思う。昔マッチボックス社のミニスケールモデルが2色モールドだったのを思い出した。これまで、EASTERN EXPRESS社のKVやSUはキャタピラがビニールっぽいベルト式だったが、このキットは接着組立式だ。軽戦車らしく、華奢ではあるがなかなか感じのいいキャタピラだ。 2、砲塔の手摺り、ライトガードなどを追加 箱絵には、砲塔の手摺りやヘッドライトのガードが描かれていたのだが、キットには入っていない。もちろんインストの説明にもない。また。ワイヤーは両端の金具部品だけは4つ入っていたが、ワイヤーそのものはなし。インストには細い紐を集めて綯うような説明図があるが、これはランアナーを伸ばして集めろということなのだろうか?「箱の中だけコンテスト」ならその指示に従うほかはないが、今回は、得意(?)の焼きなましステンレスワイヤーを使用することにした。砲塔の手摺りがないと寂しいのでDRAGONのT34の部品(プラモショーのジャンク市で買ったもの)を使用。箱絵やインターネットで調べた実車写真とはちょっとタイプが違うが、まあそれらしくなったと思う。ヘッドライトのライトガードは、TRUMPETERのT55のあまり部品を元にして、PT76のヘッドライトに合うように真鍮線などで追加工作を行った。資料を調べて作ったものではなくいい加減なしろものだが、一応それらしくなった。ないよりは全然いい。砲塔上のライトはH-EYESの透明レンズを使った。フェンダーの前後の泥よけは、プラバンで自作。これもキットでは省略されている。 3、塗装は自作のオリーブドラブで。 当時のソ連の戦車の色は、緑味の強いOD色(オリーブドラブ)のような色らしいので、以前、「バナナっ子クラブ」のTACさんから教えていただいた「黄色+黒=オリーブドラブ」を実行してみることにした。TAMIYAのアクリルカラーの艶消し黄色の瓶が残りわずかになっていたので。その中につや消し黒を少しずつ混ぜていくと、なんとキレイなOD色ができた。これまで、メーカーのOD色が気に入らず、苦労していろいろな色を調合していたのがウソのようだ。こんなにも簡単にOD色が出来るとは驚いた。もちろんTAMIYAのアクリルでなくても黒と黄色があれば同じようにできる。みなさんお試しあれ。今回はソ連戦車なので、ほんの少し艶消し緑を追加して色を緑側に少し振ってみた。 いつもどおり、全て組み立ててから、エアブラシのノズルを絞って、キャタピラ、転輪、などを塗装し、乾燥後、薄いエナメルでウォッシング&フィルタをやって、デカールを貼り、最後にダークイエローでドライブラシ。デカールは、キットにも付属していたが、オリジナルにするためにわざとTAMIYAの某キットのものを使用した。20年以上も前に作ったキットのものだが、変色もなくキレイに貼れた。 ◆総括 細かい部品がもともと付属していないので、部品の追加や自作が必要になった。 いろいろと想像で加工したので、世界に1つしかない「俺流」のPT76ができあがった。資料と首っ引きでしっかり考証するのも楽しいだろうが、今回のような「俺流」の模型作りも模型の楽しみ方の一つだと思う。 |
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