
第二次世界大戦に登場した戦車の中で最も生産台数が多いといわれているT34だが、その車体も各種自走砲に盛んに利用された。SU100はT34の車体に固定砲塔を乗せたいわゆる駆逐戦車型の自走砲だ。それまでのSU85の火力改良型として1944年の後半から生産され、ドイツとの最終戦争に駆り出された。戦後もソ連本国だけでなく世界各地で使用されアラブ諸国などでは、1970年代まで第一線で使用されたようだ。搭載された100mm砲D-10Sは第二次大戦の最も優れた対戦車砲の一つで、東側諸国の戦後の標準戦車となったT54/55にも搭載されたらしい。さて、35分の1のSU100の最初の模型は1965年頃にTAMIYAから発売された。モーターライズのゴムキャタピラを持ったタイプで、製品には「ジューコフ」というニックネームが付けられていた。車体下部は少し前に発売されていたT34/85のものと同じだ。中学生のときに購入して作った記憶があり、今(2001年12月)でも手元にインストは残っているが、模型自体はどこに行ってしまったか行方不明だ。とうに絶版のキットなので、今、手元にあったらとても貴重だと思う。その後、TAMIYAからは25分の1のSU100は発売されたが、35年経った今も35分の1の新金型キットは発売されておらず、1990年代になってからITALERI(ZVEZDA)とDRAGONから発売されたものがあるのみだ。子どものころに持っていながらなくしてしまったアイテムをもう一度手に入れたいという気持ちになるのはどうしてだろう。といっても今回は絶版の入手は困難なので、新金型となったキットを作ることにしたのだが、それもとても楽しい。過去の思い出に浸りつつ、新しい精密な模型をじっくり楽しめる。SU100の両キットは生産数が少ないのか、専門店でもお店でも意外に見つからない。いつかは作ろうと思いつつ、DRAGONとITALERI(ZVEZDA)のどちらにしようか迷っていたが、自国の戦車に思い入れを込めて作っていそうなITALERI(ZVEZDA)を作ってみようかと思っていた矢先に、インターネットのオークションで見つけ、運よく手に入れることができた。よかったよかった。 ◆今回の制作の方針 1、タンク・デサントを乗せてみる ソビエト戦車の実車写真では、戦車の上にたくさんの兵隊が載っているのをよく見かける。これは兵員輸送車が不足したソビエトで実際に頻繁に行われたようで、「タンク・デサント」と呼ばれている。英和辞書でDESCENTをひくと「急襲」といった意味があるので、「タンク・デサント」とは「戦車に載って急襲をかける」といったような意味あいなのだろう。以前に購入していたTAMIYAの「ソビエト戦車兵進撃セット」の12名の中で、戦車の上に乗っている姿勢の4名をSU100に乗せてみることにした。このTAMIYAのフィギュアは最近の製品で、兵隊のユニフォームのバリエーションが多様で、姿勢も自然な感じのとてもいいキットなので、銃の紐を紙で自作して付けた以外は、インストの指示どおりストレイト組みにした。戦車兵はTAMIYAのT34/76 1943年型に付属している戦車兵の腕を他のキットのものと交換してポーズを少し変えてみた。 2、細部の精密感を上げてみる なぜ、精密さで定評のあるDRAGONにしなかったと思われるかもしれないが、全体のプロポーションは、TAMIYAのT34系列以上に実車の特徴を捉えているように感じる。例えば斜め後ろから見たとき実車の丸っこい印象がうまく出ているようだ。全体にボリューム感があるのだ。ただ、さすがに細部は精密感が足りない印象なので、いろいろと手を入れてみた。作り手がいろいろ手を入れやすいと言うのも模型の魅力ではないだろうか。サイトなどで実車の写真を見て、表現が不足していると思われる部分に手を加えることにした。手を入れたところを以下の通り。 ・キャタピラをマケットの組立式(非可動)に交換 ・ライトのガラスにガンプラ用のH-EYESを使用 ・補助キャタピラにTAMIYAのT34系列のものを使用 ・ワイヤーロープをステンレスワイヤーの焼きなましで再現 ・操縦席ハッチ内側の取っ手をランナーで自作 ・小さな取っ手類7個を他キットから拝借 ・スタック脱出用の丸太を本物の木の枝で再現 ・車体後部のエンジンルームの天板と後部の装甲板をDRAGONのものと交換 ・工具箱などをDRAGONのt34系列のものに交換 というようなわけで、色々と手を入れたが、いちばん効果的だったのはキャタピラの交換だ。キットに付属のキャタピラはベルト式で片側2枚をつなぐものだが、硬くて丸まってしまい、転輪にフィットさせるのがとても厳しいものだった。マケットのキャタピラは可動式ではないが、ワッフルタイプの感じがよく表現されていてとてもいい製品だった。1台分600円と低価格なのもうれしい。バウマンさんから直販で、今後のことも考えて2セット購入した。新しいアレンジ方法として、ガンプラ用のH-EYESを使用してライトのガラスを表現してみたが、これもなかなか効果があったよに思う。3種類のセットがあって、いろんなサイズが用意されているので、今後、他キットのアレンジにも使えるはずだ。一部に使用したDRAGONの部品は以前プラモデルショ−のジャンクで10円で買ったもの。ZVEZDAの部品より実車に近いと思われる部分を交換した。塗装はTAMIYAアクリルのダークグリーン、オリーブグリーン、ディープグリーンの順にエアブラシして、アクリルとエナメルで何度かウェザリングとドライブラシを繰り返した。 ◆総括 今回は粗削りなソビエトの戦車表現するため、ドライブラシやウェザリングをいつもより激しくやってみた。実は昔作ったTAMIYAのSU100もドライブラシでかなり汚した記憶がある。作る直前に「ヨーロッパの解放」というソビエトの国策映画を見たとき、戦場を走り回るT34の足回りが泥塗れで黄土色になっていて、もともとダークグリーンと黄土色のツートンカラーなのかと思うぐらいだった。今回はそこまでの汚し塗装にはしていないが、その時の気分を思い出しながら作った。塗装がすべて(汚しも含めて)終わったあと、砲塔に白い帯を入れるのを忘れたことに気が付き、慌てて筆塗りで白い帯を表現した。ベルリン侵攻作戦に使用されたソビエトの車両は味方航空機の誤爆を避けるために、現地で白い帯が塗装されたらしい。したがって、色むらや蛇行は当たり前だったようだ。偶然のことだが現実と同じような手順で同じように塗ってしまったことになった。タンク・デサントはキットのできがとてもいいので、ベルリンに向かうSU100の雰囲気は出せたかと思うが、戦車兵の姿勢や表情が歩兵とくい違ってしまったのが悔やまれる。もう一工夫すべきだった。背景の空(?)がわざとらしいし、地平線の位置が低すぎるのも問題ですね。次回はもっとがんばりますからおゆるしを。 |
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