◆T34/76 1943年型

(TRUMPETER 16分の1)

◆新作紹介にもどる


私は子供のころからプラモデル好きの少年だったが、はじめから作るアイテムが戦車に集中していたわけではない。模型作りがAFV中心になったのは、ある戦車を作ったことから始まっている。その戦車こそ、今回紹介するT34だ。1960年代の終わりごろTAMIYAのT34を作った。モーターライズのT34/85だった。そのインストには、「背の低い車体と厚い装甲、驚くほど遠距離からドイツ戦車の装甲を打ち破る76mm砲を搭載している新型戦車。、、、1943年半ばに完成したパンサー戦車はT34のあらゆる長所を取り入れて、、。近代戦車の基礎を築いた傑作戦車。」といったT34を賛辞する記述がなされていたのだった。これを読んだ私は、「T34こそ戦車の中の戦車だ」と思った。それ以来、私にとってT34は戦車の中でも特別な存在となった。卵からかえった雛が最初に見た動くものを自分の親だと思い込むのと同じ「刷り込み」という現象だ。あとになって、このインストの記述には76mm砲を装備した初期のT34が描かれているにもかかわらず、キットは85mm砲を装備したT34/85であることに気がつき、このインストで説明されていたT34/76が発売される日を願い続けた。そして、1975年の1月、TAMIYAから待望のT34/76が発売されることとなる。大学入試の直前であるにもかかわらず、このキットを購入して作った、、、ような気がする。、、、まてよ、それとも受験が終わってから作ったのだろうか、、、。残念ながら記憶が確かではない。ともあれ、とにかくこのキットを作ることによって、近代戦車の基礎を築いたというT34の姿を初めて立体的に認識することができたのだった。あれから、30年。T34やその派生型自走砲のキットをたくさん作ってきた。これまでに作った数はおそらく10種類を超えるだろう。そして、今年の夏とうとう、T34キットの究極とも言えるものすごいキットがTRUMPETERから発売された。巨大スケールで、内部も再現された16分の1スケールのキット。もちろん、キャタピラは組み立て可動式で、エッチングパーツや、金属ワイヤーまではじめから付属している、豪華キットだ。ところが定価が15800円と超お買い得。これまで16分の1の戦車といえばTAMIYAのシャーマン、タイガー1、パーシングのように、ものによっては10万を超える価格のRCキットしかなかったわけで、購入できる代物ではなかったのだが、この値段なら35分の1の5台分くらいだから、少し節約すれば家族の了解も得られるかもしれない買えなくもない、、、、ふふふふふ、やっと、T.M.FACTORYにも16分の1キットが収録できるかも、、。というわけで、この大型キットを購入することになった。76mm砲タイプが1942年型と1943年型の2種類、85mm砲タイプもフェンダーが丸いタイプと四角いタイプの2種類が発売されたが、個人的に造形的なバランスが一番いいと信じている1943年型を購入することにした。さて、私的に史上最大で史上最高額のキットがT.M.FACTORYにやってきたのであるが、いったいどんなキットなのだろう。作りやすかったのか、難しかったのか、そして、どんな風に完成したのだろうか。

◆キットの外身と中身

1、とにかく箱がでかい。

箱の大きさを測ってみると、縦410mm×横630mm×高130mm。容積は33.579リットル。ちなみ、MAQUETTEの35分の1のT34の箱はというと、縦210mm×横310mm×高60mm。容積は3.906リットル。なんと約8.6倍の大きさ。しかも外箱の中に大、中、小の3つの中箱が入っていて、それぞれに上下の車体、転輪、キャタピラが収納されている。大きな箱の中で部品が踊らないようにという配慮だ。車体の箱だけでも、MAQUETTEのT34の箱よりと大きい。20ページのインストとカラー3面図。この三面図は、昔、REVELLの31分の1キットに入っていたような雰囲気のものだ。古い話でごめんなさい。

2、車体を35分の1のキットやWTMと比較して見ると、、。

 外箱のふたの中に入れてみた。左上がWTMのT34/76とT34/85。右上が35分の1のT34/76とT34/85。砲塔ですら小さなスケールの戦車より大きい。

 WTMの1942年型とMAQUETTEの1940年型を車体部品の上に乗せてみた。

3、サスペンションの組み立てと車体内部の塗装

 金属のスプリングを利用した実物のように動くクリスティ型のサスペンションが再現されている。内部はインストは白の指定だが、質感を考えて白に少し黒を混ぜたライトグレーで塗装し、内部の部品も塗装した後に組み立てていく。

車体前半部分内部が完成。操縦席の後ろの戦車兵はTAMIYAのKV2に付属していたもの、スケールが違うのでまるで小人。

 

4、エンジンとトランスミッション

 車体の後半部分には、ディーゼルエンジンとトランスミッションが搭載されギッシリ詰まっている。エンジンはかなりの数の部品で構成されていてリアリティ十分。車体に取り付けたら上部しか見えなくなってしまった。取り付ける前に写真を撮っておけばよかったと反省したが、後の祭り。

5、砲塔内部と外部の組み立て

 砲塔内部には、76mm砲の基部と椅子が2つ、砲塔の後部にはエッチングパーツ製のマシンガン弾装ラックなどが格納されているがこの写真では見えない。砲塔の天板をくり貫いて、完成後も見えるようにするといいのだが、加工に自身がなかったので、キットのまま。

6、キャタピラとエッチングパーツ、砲身など、

 キャタピラはこの写真の2種類を、はめ合わせて交互につないでいくもの。ピンが別部品になっていないので、組み立てがとても簡単。エッチングパーツが2枚入っていた。マシンガンの弾装ラック、キャタピラの滑り止め用の取り付け具、エンジングリルの網がエッチングで用意されており、リアリティを高めるのに効果を発揮している。ライトのレンズが透明部品で再現されており、ワイヤーは銅線がキットに付属していた。砲身はファインモールドから発売されているアルミ引き物を購入して使った。定価は1500円。高価だが、キットの部品は頼りなかったし、本体の10分の1と割り切って使うことにした。

7、塗装とマーキング

 組み立て途中の写真を撮っていなかったので、いきなり塗装の話に飛ぶ。インスト指定の緑一色の塗装では芸がないので、緑と茶色の2色迷彩に挑戦してみた。スクアドロンの「T-34 in action」の2色迷彩の図を参考にした。この図のT34の転輪は、前後4個がゴ付き、中よりの6個がスチールタイプになっており、キットと同じであるし、箱型の補助燃料タンクや補助キャタピラの配置もキットと同じである。マーキングの文字や車体番号はちょうど同じマークがなかったので違うものになってしまったが、赤い星と式典用の赤旗のマーキングはいっしょ。ただし、35分の1キットのデカールを流用したので実際よりやや小さくなっている。雰囲気は再現できたと思う。35分の1と16分の1ではスケールの違いは2.1857倍だから、塗装の手間は35分の1キットの2倍くらいかと考えていたら、とんでもない。塗装面積は4.78倍だ。どおりで、普通は半日で終わる塗装に、二日もかかってしまった。塗料もあっという間になくなってしまった。

◆総括

 6月の中ごろに購入して、10月の終わりにやっと完成した。内部再現キットは内部を塗装しながら組み立てを行わなければならないこと、そして、繰り返しになるがスケールがこれだけ大きいとやはり、すべての工程で時間がかかってしまう。8月以来の新作となった。内部が再現されているが、フィギュアは付属していない。どこからか発売されないものだろうか。是非とも乗組員4人全員のフィギュアを乗せたいと思っている。そのためハッチは開いた状態にした。完成後の可動部分は、砲塔の回転、砲身の上下動、トランスミッションカバーの開閉。サスペンションの上下動、キャタピラとホイールの回転。操縦手ハッチの開閉。車載マシンガンなどだ。また、改造点としては、エンジンハッチを車体から切り離して、完成後もエンジン見えるようにしたことと、車体上部裏側と砲塔天板の裏側にあった多数の押し出しピンあとを消すために、薄いプラ板を張ったことくらいである。いやあ、とにかく時間がかかりました。あー、疲れた。

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複数アングル

外観。可動サスで微妙な重量感が感じられる。 側面。車体は斜めに張り合わされた装甲版で構成されている。

前面。開いたハッチがミッキーマウスの耳のようだ。ライトのレンズは透明部品。 後部。左右の箱型の補助燃料タンクが特徴。

ロシアの博物館の屋外展示みたいでしょ(笑)。 35分の1のT34、JS3との大きさ比較。

砲塔のハッチから、76mm砲の基部がのぞける。 マーキングは「T-34 in action」の図を参考に構成した。

操縦手のハッチとマシンガンは可動。 エンジングリルの網はエッチングパーツ。

ワイヤーは銅線をより合わせたものが、キットに付属している。 リアルなキャタピラの滑り止め(一種のアイゼンだなこれは)。

ワイヤーは銅線をより合わせたもの。 ロシア戦車の常備品であるのこぎり。

前面。もとのM109に比べて、砲塔前面にさまざまな装備が付いて複雑な形状になっている。 後部。やはり組み立て式の可動キャタピラはとてもリアルだ。

エンジン上部のふたは、車体を切って、取り外せるようにした。完成後も眺められる。 車体内部もリアルに再現している

エンジン。パイピングを追加してみた。 エンジンとトランスミッションはこうなっている。

車体前部の内部のようす。シャタースピードが写真がぶれている。 操縦席。手前のボンベには、寒冷時エンジン始動用の圧縮空気が入っているという。

機関銃士兼通信士席。緑色の箱は通信機だろう、。適当に配線を追加した。 砲塔直下の弾薬箱。76.2mm砲弾が格納されている。キットに付属の2個の砲弾を立てかけてみた。


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