ネムノキ(合歓木)
Since 2009/06/30


 本州、四国、九州から朝鮮半島、中国に分布するマメ科の落葉高木です。葉は2回羽状複葉で、夕方になると閉じ、朝になると再び開くので、「眠る木」としてこの名が付いたといわれています。花は、多数の淡紅色の雄しべが長く伸びて美しく、当地(兵庫県相生市)では梅雨時に咲きます。

 川土手や道路端に自然に生えて、そのまま切られずに成長している木が結構あります。枝ぶりなどから、地元の住民にとっては、雨宿りや休憩時の木陰として役立つ存在ではないかと推測します。下の写真は2009年6月24〜27日に、自宅近辺の路傍で撮影したものです。

 芭蕉は「奥の細道」で、「象潟(きさがた)や 雨に西施(せいし)が ねぶの花」 と詠みました。西施は中国の伝説的な美女。象潟の雨に濡れて咲いている合歓(ねむ)の花は、西施が(目を閉じて)眠っているかのような趣である、というような句意と解釈されています。芭蕉はネムの花を見て、目を閉じた西施の長いまつげを連想したのかなあ、というのは私の想像です。

 「奥の細道」には 「まゆはきを 俤(おもかげ)にして 紅粉(べに)の花」 という句もあります。これはベニバナを見て、女性の化粧道具の「眉掃き」を連想したというような意味です。芭蕉はわびさびだけではなく、結構「軟派」もしたのでは?と推測します。

 高峰三枝子の歌った「南の花嫁さん」にもネムノキが出てきます。この歌の影響で(私は)、ネムノキに何となくトロピカルな風情を感じます。作詞は藤浦洸です。

 ♪♪ 合歓の並木を 仔馬のせなに ゆらゆらゆらと 花なら赤い カンナの花か 散りそで散らぬ 花びら風情 隣の村へ お嫁入り …… ♪♪

 中国名の「合歓」には夫婦和合の意味がありそうです。漢和辞典(角川書店)で調べてみたら、「(1)喜びを共にする。楽しみあう (2)夫婦が同棲すること (3)木の名 ねむの木」 と出ました。藤浦洸は、だからこそ、この歌に合歓の並木を登場させたのかもしれません。 

(写真はクリックすると大きくなります。)


相生市那波東本町


相生市野瀬


たつの市揖西町


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